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「どんぐりは、山の神様からの贈り物」 「私にはそうとしか思えないんです」 郷土料理「ひだみ」の主、瀬戸美恵子さんはそう語る。 木曽郡王滝村の、この地に開店して20年。 どんぐりにこだわって20年 「ひだみ」は、どんぐりにこだわって、こだわって20年。 どんぐり以外のメニューはりんごジュースしかない。 このメニューには載せていないものもあるが、全てはどんぐりメニューだ。 王滝村のこの地は、木曽御嶽山の2合目。 山間の寒冷地で、人々の生活には厳しい環境だ。 だが、そんな中でも、こんなにも立派なたたずまい。 「ひだみ」の中もこんなに立派。 冬にはこのストーブが大活躍するに違いない。 立派なお店。 右側の御嶽神社資料館にそのヒントがあった。 両方とも王滝村が建設し、それを御嶽神社に運営を委託したのだった。 それを瀬戸美恵子さんがまかなっている。 お店には、開業2年後に田中初子さん(写真右)も加わった。 二人で18年もどんぐりの食研究を続けてきたことになる。 メニューのほとんどは、どんぐり商品 「ひだみ」の人気メニューはこれ。 「どんぐりこおひい」の400円。 「どんぐりパン」と「米粉焼」(まいこやき)のセットにすると600円だ。 「どんぐりパン」の代わりに「ひだみまんじゅう」でもいい。 小さな「ひだみサブレ」はおまけで付く。 店内の机や椅子もどんぐりの楢材にこだわる。 さて、そのどんぐり。 いったい、どうやって食せるようになるのか。 深い、深い物語があった。 「ひだみ」は「下実」か そもそもどんぐりのことを、この地では「ひだみ」と呼ぶ。 なぜ、「ひだみ」か。 いろいろと説はあるようだが、瀬戸さんはこう感じてきた。 「したみ」が訛って「ひだみ」になったに違いない。 では、なぜ「したみ」なのか。 「下実」。 栗、胡桃は、いわば採ってすぐ食べられる上等な実。 それに対して、とてもじゃないがすぐに食べられない実。 どんぐりは下等な実と思われてきたというわけだ。 だから、人間は栗、胡桃を食して。 どんぐりは野生動物が食する。 だが、この地方では昔、冬場に備えて各家庭にどんぐりを蓄えていた、という。 天候不順や飢饉に備えてどんぐりを非常食として確保する。 それに、薬としての効用もあったという。 お米に匹敵する栄養がある上、お腹が痛い時に、どんぐりの粉をいただいて直したという。 だから私は、と瀬戸さんは言う。 人間が絶対、生き延びるために。 どんぐりは山の神様からの贈り物。 どんぐりと20年間向き合った、瀬戸さんならではの深い言葉だ。 子供からお年寄りまで村人が拾い集める
実はその昔、僕は。 東京・六本木のレストラン「マキムシ」でどんぐりパンをいただいたことがある。 シェフには、ここまで作るのが大変なんです、と聞いた。 貴重だし、不思議な美味しさだった。 そして「ひだみ」のどんぐりパン。 今回が人生二度目の出会いだった。 その作り方を聞いてまた驚いた。 まずはどんぐりの入手方法だが。 ここでは秋になると村人が、どんぐりを集めてやってくる。 子供からおじいちゃん、おばあちゃんまで。 1kgあたり200円で「ひだみ」が買い入れる。 そのどんぐりをまず、1日茹でて虫出しをする。 その後の工程がまだまだ長い。 まずはこのどんぐりを天日干しする。 この状態で保存しておくことも可能だ。 隣村からどんぐり皮むき機のプレゼント
しっかり乾燥されたどんぐり。 今度はこれの皮むきが必要だ。 およそ10年前のことだ。 「一番困っていることは何だ」 瀬戸さんはそう聞かれて、どんぐりの皮むき、と答える。 困っていることを尋ねたのは隣村、旧開田村の村上國夫さん。 当時、旧日義村、旧三岳村、旧開田村と王滝村で構成する木曽中部商工会の事務局長さんだった。 隣村とはいえ、仲間うち。 なんとか考えよう。 そう言ってくださったという。 しばらくして現われたのが、旧開田村の役場職員だった中畑さん。 持ってきたのが、これだった。 木曽中部商工会考案、と書かれていた。 旧開田村で何かに使っていたものを中畑さんが工夫して改造したのだった。 どんぐりをローラーとローラーの間に挟んで送り出す際に皮むきができる。 本当に嬉しかった、と瀬戸さんは振り返る。 大きな壁を突破した時に訪れるご褒美
その後の努力もまた、敬意を表さないわけにはいかない。 1日8時間、4日間も煮続ける。 何度も何度も水を替えて、アク出しするのだ。 4日間もアク出ししなくては食材にならない。 気が遠くなるほどだ。 そうして干してから。 今度は粉にして、ようやく食材としての粉になり。 パンやお饅頭やパイやサブレに生まれ変わる。 だが、それぞれも混ぜ合わせる小麦粉などの選定や配分など。 美味しく完成させるには多くの時間が必要だった。 その技を得た二人は、「どんぐり食研究家」と呼ぶにふさわしい。 とりわけ僕は、どんぐりパンが気に入った。 旨い。 普通では食べられない物の「食」への挑戦。 そこにはだかる大きな壁を突破した時に訪れるご褒美。 それはまさに、「神様からの贈り物」に違いない。 今やどんぐりパンは、年に2回、村の小中学校の給食で振る舞われる。 郷土教育の一環でもあるわけだ。 市川健夫東京学芸大学名誉教授が珈琲を提案
「どんぐりを焙煎して珈琲にしたらどうだろう」 そう勧めたのは、市川健夫東京学芸大学名誉教授だった。 市川先生は林や森、日本の郷土などがご専門。 なにより、王滝村が大好きだと話していたという。 それで、「こおひい」に挑戦したんです、と瀬戸さん。 焙煎はどんぐりを粉にしてからがいいと思うまでは試行錯誤を繰り返した。 「ひだみこおひい」と名付けた。 とりわけ「ひだみサブレ」との愛称がいいので、小さな1個をサービスしている。 可愛く、どんぐりの形にしたもの。 ほど良く甘く、さくさく感がいい。 そのほか、こんな「どんぐりパイ」も好評だ。 パイのあんこは100%どんぐり粉にほんのわずかな三温糖で作っている。 |
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| 郷土料理 ひだみ のおすすめ商品 |
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| どんぐりパンセット 1,950円 税込、送料別 |